暮らしの基本は“食べること”『シンプルに暮らす』

健康

私たちは消費=幸せに取り憑かれていませんか?消費することが幸せの近道であると錯覚させられていませんか?豊かと言われるこの社会でストレス、精神疾患、肥満を抱える人は年々増加しています。現代人の抱えるトラブルのほとんどについて筆者は、心や身体が取り入れるべきものの、自分なりの基準を失い、受動的になんでも受け入れていることであると語ります。

シンプルに暮らすためにどうしたら良いか。そのヒントを本書の一部から紹介していきます。

自然の教えは簡単

自分で料理した体に良い物を控えめに、ゆっくりと時間をかけて食べること。それこそが自分の身体を自然に戻す第一歩になります。自身が必要なものを必要なだけ取り込むかを自分で決める工程です。なので、自分しか解決してくれないのです。一時的な楽しみに溺れてしまうのは、自分の周りに重荷を背負い込むだけでなく、脂肪と毒素を背負い込み、自分自身が重荷になってしまいます。

だからこそ、自分が望むままに生きることをイメージすることは、現実の暮らしを見直し、自分の夢を描くと、他人の夢を生きることをやめることにつながるのです。

身体の声に耳を傾ける

朝食、昼食、夕食と1日3回の食事、この時間になったから食べることが習慣になっていませんか?身体は毎日調子が違います。時間になったことではなく身体の声に耳を傾けて、先入観なく空腹と満腹を感じることを考えてみましょう。時間だから食べるという行動は、身体の声に反しています。食べる量を減らして身体の声に素直に従えば、数ヶ月で体調は良くなります。そして食べてはいけない物をあれこれ考える必要もなくなり、自然と身体の負担になる物を拒むようになります。

断食をすると身体が休まる

断食は身体と同じく精神にも解放感と安堵感を与えてくれます。消化器系が休めることで身体全体が休まり、調子が良くなっていきます。まずは何より自分をよく知って、自制しすぎず約束事を手放すことも必要です。ここでも身体の声に耳を傾けることを忘れないようにしましょう。

古代から読み継がれる健康への教え

最後に本書にならって、中国に現存する食に関する最古の本を引用して締めくくりとします。

健康に留意するものは、食を節し、心配ごとをなくし、欲望を減じ、感情を抑え、よく体力に意を用い、言葉を少なくし、成敗を軽んじ、悲苦を意に介せず、愚劣な野望を追わず、好悪の念を避け、視力と聴覚をしずめ、内臓の摂生に忠実なるべし。

精神を労し、霊魂を悩ますようなことがなければ、どうして病気にかかることがあろう。それゆえに、心身を養おうとするものは、空腹を感じたときだけ食べ、決して満腹してはならない。また渇を感じたときだけ飲み、しかも腹いっぱいに飲んではならない。長い間隔をおいて少量ずつ食すべく、あまり大量を間断なく摂ってはならない。満腹したときにいささか空腹を感じ、空腹の時にいささか満腹を感ずるというふうにすべきである。満腹は肺を害い、空腹は精力の活動を害する。

林語堂『人生をいかにいきるか(下)』 阪本勝訳、講談社

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