【食物アレルギーとの付き合い方】原因と症状、調理する時の工夫とは!?

健康

自身が、あるいはお子さんが食物アレルギーと分かり症状が出てしまうと不安に感じると思います。栄養バランスを考えながら、エネルギーの原因を取り除くには毎日の食事に細心の注意を払わなければならなくなり、その心配や、外食が制限されることでストレスを抱えてしまう人も多いかもしれません。

今回は、食物アレルギーになった、気づいた、もしくはまだ自覚がない方のために、アレルギーの原因となる食物とその症状について解説していきます。今回の参考文献はこちらです。

食物アレルギーを知る

そもそもアレルギーとは

アレルギーとは、本来体を守るべき仕組みが過剰に働くことで体にとって不利益な症状を引き起こすものです。喘息(ぜんそく)や花粉症のような呼吸器系の症状から、アトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎など、皮膚や粘膜の病気まで幅広く存在しています。

私たちの体は、粘膜や白血球などによる免疫(めんえき)というしくみによって、外から入ってくるウイルスや細菌を排除し、身を守ってくれています。消化、吸収機能が未熟だったり、免疫反応を調整するしくみに問題があると、食べ物を異物と認識してしまい、過剰に反応してしまい、食物アレルギーが起こります。

アレルギーの原因になる食べ物

アレルギーの原因食物に関する調査結果を見ると、全年齢では鶏卵が最も多く、次いで牛乳(乳製品)、小麦と続いています。

参考文献:食物アレルギーの診療の手引き 2020

食物アレルギーのタイプは4つ

食物アレルギーは新生児・乳児消化管アレルギー食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎即時型特殊型の4つに分類されます。最後の特殊型についてはさらに食物依存性運動誘発アナフィラキシー口腔アレルギー症候群の2つのタイプに分かれます。

*4つのタイプはそれぞれ、頻度の高い発症年齢や頻度の高い食物、アナフィラキシーの危険性、耐性の獲得(治る可能性)などに違いがあります。

Q. アナフィラキシーとは?

食事、薬物、ハチ毒などが原因で起こる即時型アレルギー反応の1つ。皮膚、呼吸器、消化器など全身のあらゆる臓器に重篤な症状が現れます。それがさらに進行すると、血圧低下や意識喪失など生命をおびやかす症状を伴うものを、アナフィラキシーショックと呼びます。

タイプ新生児・
乳児消化管
アレルギー
食物アレルギーの
関与する
乳児アトピー性皮膚炎
即時型
食物アレルギー
特殊型食物アレルギー特殊型食物アレルギー
食物依存性運動誘発
アナフィラキシー
口腔アレルギー症候群
頻度の高い
発症年齢
新生児
乳児期
乳児期乳児期〜成人期学童期〜成人期幼児期〜成人期
頻度の高い
食物
牛乳鶏卵、牛乳、
小麦、大豆など
年齢によって異なる小麦、えび、
かになど
果物、野菜など
アナフィラキシーの危険性低いあり高いとても高い低い
耐性の獲得
(治る可能性)
高い高い鶏卵、牛乳、
小麦、大豆→高い
それ以外→低い
低い低い
食物アレルギーのタイプ

こんな症状が出たらアレルギーを疑う!

新生児・乳児消化管アレルギー

  • 血便
  • 嘔吐
  • 下痢

これら消化器の症状が9割発現します。主に粉ミルクの原料である牛乳に対するアレルギーで、血便嘔吐下痢などの消化管症状が現れます。この場合医師の指示に従って、牛乳アレルギー用ミルクを利用します。

ただし牛乳アレルギー用ミルクには、ビタミンB群などの栄養素が十分添加されていないため、それらの栄養不足を補うために、薬を処方してもらうなど医師に相談する必要があります。

食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎

  • 顔や頭に湿疹や赤みができる
  • スキンケアをしても2ヶ月以上よくならない
  • 離乳食を開始したら皮膚症状が悪化

卵、牛乳、小麦、大豆などが原因と考えられます。生後間もなく(3〜4ヶ月)、顔から始まる湿疹が徐々に体全体に広がっていくもので、アレルゲンとなっている食物を除去しなければスキンケアを心がけても、かゆみのある湿疹がよくなったり、悪くなったりを繰り返し、2ヶ月以上改善しないのが特徴です。

即時型食物アレルギー

  • じんましんなど皮膚の赤みなどの皮膚症状
  • 咳などの呼吸器症状
  • 鼻づまり、くしゃみなどの粘膜症状
  • 腹痛、吐き気などの消化器症状

原因になる食事を摂取してから主に2時間以内にアレルギー反応による症状が出現することが多いと言われています。皮膚症状と呼吸器症状が頻度の高い症状ですが、なかには生命の危険を伴うアナフィラキシーのような重篤な症状が出る場合もあります。

特殊型食物アレルギー

食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
  • 全身のじんましん
  • 血管性浮腫
  • 赤み などの皮膚症状
  • 喘息、咳、呼吸困難
  • ショック症状

小麦、甲殻類が原因となることが多く、両方合わせて原因食物全体の9割を占めています。原因となる食事の摂取後2時間以内に激しい運動をすると起きるので、食後運動するまで2時間以上時間を空ける必要があります。

口腔アレルギー症候群
  • 唇、舌、口の中、のどなどに傷み、かゆみ、むくみ

生の野菜や果物を食べた直後に、口の中にかゆみなどの症状が出ます。症状は軽いものが多く、加熱処理後のジャムやゼリーなどの加工品で症状ができることはほとんどありません。

原因になる食事は生の野菜や果物(主に、にんじん、レタス、セロリ、きゅうり、トマト、りんご、なぢ、もも、さくらんぼ、キウイフルーツ、マンゴーなど)が代表的な発症例です。花粉が飛ぶ時期に症状が悪化することがあるので、注意が必要です。

食物アレルギー診断のための検査

基本は食物経口負荷試験で行われます。

Q.食物経口負荷試験とは?

アレルギーの疑われる食品を少量ずつ食べて、お医者さんと一緒に観察する方法です。

アレルギーの原因となっている食物が何であるのかを診断し、その食品をどのくらいなら食べても症状が出ないのか、あるいはどのくらい食べると症状が出るかを調べる検査です。

ここで注意なのが、負荷試験は必ず医師がいるところで行うことです。

自宅や学校などでは、症状が出てしまった時に緊急の対応をすることができません。必ず医師と共に、症状を観察できる病院で行いましょう。

乳児アトピー性皮膚炎で食物アレルギー関与を疑う場合には、食物除去試験を行うこともあります。これは、血液検査や皮膚テストで原因食物の除去を母親が1週間程度続け、母乳を飲んでいる赤ちゃんの皮膚症状の改善度合いを観察する試験です。

主な原因食物と調理の工夫

食べられないものを理解して正しく除去することがポイントです。除去しなければならない範囲は人それぞれです。不必要な除去をせず、自分の食べられる範囲が分かることで、食事を安心しておいしく食べることができます。

原因食物がわかったら心がけたい食事のコツ4選

  1. 原因食物が、加工食品や料理に入っているかを理解する
  2. 栄養がかたよらないように、献立も意識する
  3. 材料や作り方で工夫しておいしく食べる
  4. アレルギー用の代替食品を上手に利用

4大原因食物が含まれる加工食品とその食べ方の工夫

鶏卵

鶏卵を含む加工食品:マヨネーズ、クッキー、ケーキ、アイスクリーム、かまぼこ、はんぺん、ハム、ウイナーなど

食事のコツ:

ひき肉、すり身、料理のつなぎ

鶏卵の代わりに水とでんぷん、じゃがいもやれんこんのすりおろしを入れるとつなぎになります。

揚げ物の衣

溶き卵の代わりに、小麦粉やでんぷんを水で溶いたものを使います。

洋菓子の材料

ケーキは重曹やベーキングパウダーでふっくらさせます。バターや牛乳で口当たりをなめらかにします。

乳製品

牛乳を含む加工食品:ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、練乳、乳酸菌発酵乳、アイスクリーム、パン、パン粉、チョコレート、乳糖など

食事のコツ:

赤ちゃん用のミルク

牛乳アレルギー用のミルクを使用します。料理にも牛乳の代わりに使うとカルシウムが補えます。

ホワイトソースなどの料理

すりおろしたじゃがいもや、小麦粉と植物油、アレルギー用ルウを使用できます。

シチューやスープ

とらおみをつけるためにすりおろしたじゃがいもやれんこん、でんぷん粉を利用。豆乳やコンソメスプ、ココナッツミルクでコクを出します。

小麦

小麦を含む加工食品:パン、うどん、マカロニ、スパゲティ、麺、餃子の皮、ルウなど

食事のコツ;

ルウ

米粉やでんぷん、コーンスターチ、タピオカ粉などでとろみをつけたり、アレルギー用のルウを使います。

揚げ物の衣

パン粉の代わりにコーンフレークや春雨を細かく砕いたものや、コーングリッツ(とうもろこしを粉状にしたもの)を使います。

パンケーキの生地

米粉、雑穀粉、そば粉などを使います。米粉はうるち米で作る米粉・上新粉ともち米から作る白玉粉があります。

大豆

大豆を含む加工食品:豆乳、豆腐、湯葉、厚揚げ、油揚げ、がんも、おから、きなこ、納豆、しょうゆ、みそなど

しょうゆとみそは基本OK!(医師に確認しましょう

発酵食品のしょうゆやみそは、製造過程で大部分の大豆たんぱく質が変性してアレルゲンがかなり低下しているので食べられることが多い。しょうゆやみそは除去に伴う生活の質低下が大きいので、医師に確認しましょう。

調味料のアレルゲン性

調味料に含まれるアレルゲンは少ないので、食べられる人が多いです。ただし必ず誰でも大丈夫というわけではないので、食物経口負荷試験などで調味料の摂取が可能か確認してみてください。

小麦アレルギーの場合

しょうゆ、穀物酢(小麦を原料とする酢)が該当します。

しょうゆに含まれる小麦は、しょうゆの製造工程でアレルゲンが消失しているため、小麦アレルギーでもしょうゆは食べられます。穀物酢には、小麦のアレルゲン(たんぱく質)はほぼ含まれていないので、多くの小麦アレルギーの人が除去する必要はありません。

大豆アレルギーの場合

しょうゆ、みそ、大豆油が該当します。

しょうゆ、みその製造工程(発酵)で大豆のアレルゲンはかなり低下しているため、多くの大豆アレルギーの人がしょうゆ、みそは除去する必要がありません。大豆油には、大豆のアレルゲン(たんぱく質)はほぼ含まれていないため、こちらも除去する必要はありません。

ゴマアレルギーの場合

ごま油が該当します。

精製度の高いごま油には、ごまのアレルゲン(たんぱく質)はほぼ含まれていないため、ごまアレルギーでもごま油を食べられることもあります。


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