あなたの果物についての誤解を解きほぐす『科学的データでわかる果物の新常識』

健康

果物を食べる過ぎると

「太る」「血糖値が上がる」「中性脂肪が増える」

そう思って果物の摂取を控えていないだろうか。実はその常識はもう古くなっている。今回紹介する書籍『科学的データでわかる果物の新常識』では、欧米の研究結果を根拠に多くの人が誤解している果物への解釈を解きほぐしてくれる。

欧米の研究で「果物は生活習慣病を予防し、健康の維持・増進に必要な食材」と明らかになっている。アメリカではがん予防のために1人1日あたり5サービング(約400g)の摂取運動「5 A DAY運動」を行い、がんの予防につなげている。

一方日本人の1人1日あたりの摂取量は140g(FAO 2011)と非常に少ない数値となっている。その背景には、冒頭の誤解と合わせて日本の食文化も影響していると筆者は語っている。日本は古来より果物は水菓子と呼ばれ、食生活の必需品ではないと認識されていたことが理由だと推察している。

最近では果物の摂りすぎに注意を呼びかける病院などもあるが、そもそも果物に限らず摂りすぎて良い食事などない。そこから果物を名指しすることで、誤解を増長させる原因になっているのではないか。科学的なデータから改めて、果物の力を理解して誤った情報に惑わされないようにしよう。

果物摂取の国際比較

冒頭で日本人の1人1日あたりの果物摂取量は140gと紹介した。ではトップの国はどれくらい摂取しているのか。データは国連食糧農業機関(FAO)2011より

1位はオランダ 444gの摂取
日本は140gなので大差が開いているが、アジアの周辺国中国、韓国と比べるとどうだろう。
中国は223g、韓国は184gと周辺と比べても日本の果物摂取量が少ないことがわかる。

果物に対する誤解 「太る」に関して

果物は太るというイメージが形成されたのは甘いからではないか。では甘いりんごと甘くないごぼうとわさびを比較してみる。それぞれ100gあたりのカロリーは、

りんご 57kcal
ごぼう 65kcal
わさび 88kcal

同じ量でりんごよりもごぼう、わさびの方がカロリーは高い。甘さとカロリーは関係ないことがここからもわかる。では味覚とカロリーの概念を理解しよう。「甘さ」は口腔内の味覚センサーで感じる感覚であり、「カロリー」は食品が小腸などで消化・吸収され、どの程度エネルギーになったかを示す。

太るというのは、接種されたエネルギーと消費されたエネルギーの差なので甘さと関係がない。

果物と生活習慣病に関する研究

世界を変えた3つの報告がある。

1つ目は1982年、がんについて行われた疫学調査研究で、予防には「喫煙をやめること」と「食事の内容を改善し果物と野菜を多く摂取する必要があること」を報告した。しかしそこで懐疑的な意見も発された。果物はがんの予防には有効でも、生活習慣病はむしろ誘発するのではないか?という意見だった。 これを踏まえて、

2つ目は1986年に生活習慣病の論文をアメリカ食品医薬品局が1000本集め、果物に含まれる糖(低分子糖類)は、生活習慣病の直接原因ではないと発表した。

3つ目は1997年ヒトに対する実験を行った。ここで実験というのはDASH食事摂取法と呼ばれるもので、高血圧予防のための食事摂取法で、果物と野菜の摂取量が多いのが特徴の食事法である。その結果、血圧が下がり、生活習慣病の予防に効果があることが実証された。


このように世界的に果物の有効性を示すための研究が日々行われ、改善されている。まずは果物の摂取量を200g以上にすることから健康増進に向けた活動をはじめてみよう。

最後までご覧いただきありがとうございます。わかりみ商店では食事をはじめとした健康情報、ヴィーガン、エシカル情報を発信しています。また次回の更新をお楽しみに!

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