気づかないうちにあなたも罠にはめられている。『フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠』

健康

安さ、おいしさ、ボリューム この3つが揃った食品が簡単に手に入るようになったことで、私たちの生活は豊かになりました。本当にそうでしょうか。健康から考えた時今の生活と100年前の生活ではどうでしょうか。医療の発達によって圧倒的に平均寿命は伸びています。しかし病気についてはどうでしょうか。

O157に汚染されたハンバーグ肉の流通をきっかけに大規模食中毒が起こった事件を取材・執筆を行った「ニューヨークタイムズ」記者による食品業界にフォーカスした本書。消費者が求める味、便利さ、コストを追求した結果として私たちが得たものと失ったものを浮き彫りにしてくれます。

訳者あとがきから紹介を始めていきます。

企業は消費者が求める物を作っています。ならば健康的なものが店頭に並ぶかを決めるのは消費者です。(中略)そもそも加工食品が非加工食品(生鮮食品)より安い理由を考える必要があります。

訳者あとがき

よくよく考えれば加工という手間が加わっているにも関わらず、元のものより値段が安いことは違和感があります。言われてみれば当たり前のことですがただ「便利だから。手軽だから」のみを優先してしまうと見えなくなってしまう部分です。

もちろん企業はビジネスとして成立させるために利益を生み出さなければいけません。利益追求のための商品開発と、それを選ぶ消費者、取り締まる政府とそれぞれの主張が絡まり今の市場ができています。業界が抱える欺瞞と苦悩を本書では明らかにしている。

代表的な3つの罠 塩・脂肪・砂糖

塩=ひと口で味蕾に生じる刺激を増大させる
脂肪=カロリーが高く、量がついつい欲しくなる
砂糖=脳の興奮作用をもたらす

本書で登場する企業は、これらの成分なしに消費者にたくさんの商品を買ってもらうことは難しい。逆に言ってしまえば、これらさえ押さえてしまえば消費者を虜にすることも簡単なのだ。各企業は胃の容量をいかに奪えるかにしのぎを削っている。

消費者が待ち望む2つの食品

ネスレの研究所を訪れた筆者は、消費者が欲しがる2つの食品実験場を目の当たりにした。まずは「食べても太らない食品」である。研究所では食べても太らないために食物繊維を大量に含んだ食品を検討していた。ただし実験シミュレーションで最大の消化力(人間の咀嚼を再現)しても、人体で消化しきれなかった。

さらなるアプローチは「食べるほど痩せる食品」である。これは実際に2007年エンヴィガとしてアメリカで商品化「カロリーを燃焼する」とラベルに謳って販売された。しかしその後公益科学センターから指摘に始まり、20以上もの州で不正広告だとして販売中止となった。内容は緑茶とカフェイン、2種類の人工甘味料を含んだ飲料で栄養専門家からの抗議も大きくなっていた。

Enviga(エンヴィガ)

このように人々の求める欲に対して応える製品を企業は研究し、世に生み出している。しかしこれだけ飲めば、食べればという特効薬は存在しない。冷静に何が作用しているのかを見極める目が求められている。

利害衝突に巻き込まれる政府

アメリカには国民の食べ物を監視を目的とした省庁農務省が存在する(日本では厚生労働省が担当)。しかしそこは利害の衝突に常に晒されてきた。そこには3億1000万人の健康と1億ドル産業の300を超える食品メーカーの間にある。

飽和脂肪酸は心臓病、コレステロール上昇と関連があることがわかっている。私たちが脂肪の脂肪摂取源となっているのはチーズと食肉である。米国民の肥満と動脈硬化急増に直面する中、そのことは大きく広報されていない。農務省は食品業界とがっしり手を組んでミッション遂行に当たっている。これは牛肉と酪農産業が絡んでいるからに他ならない。

企業に属さない栄養学者たちがたどり着いた結論は、「チーズと肉の食べ過ぎをやめるべき」ということだ。たくさんの脂肪分をどこから摂取しているのかといえば、チーズとピザからで両者を合わせると14%以上を占めていた。次いで赤身肉で13%以上、ケーキやクッキー、パイなどのデザート類で6%弱。


詳細なデータは本書を参照いただきたい。政府が出しているからと言って必ずしも正しく安全ということはない。複数の観点から事実を確かめて自身の健康を選び取ってほしい。

最後までご覧いただきありがとうございます。わかりみ商店では食事をはじめとした健康情報、ヴィーガン、エシカル情報を発信しています。また次回の更新をお楽しみに!

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