暑さも本格的になりいよいよ夏休みがスタート。
夏のレジャーと言えば欠かせないのが海水浴ですよね。
水着を着て、うきわを持って、日焼け止めを塗って準備OK…ってちょっと待った!
その日焼け止めは海を汚す成分が含まれていませんか?
実は日焼け止めの中には、サンゴを代表とする海洋生物にとって有害な化学成分が含まれているものがあるんです。
海洋生物に悪影響のある日焼け止めを塗って海に入ってしまうと、どんどんサンゴは死んでいってしまいます。
そこで今回の記事では、海に有害な日焼け止めの成分や安心して使える日焼け止めをご紹介していきます。
綺麗な海やそこに暮らす生き物たちを守るためにも、ぜひ知っておきましょう!
なぜ日焼け止めでサンゴが死んでしまうの?
日焼け止めが海に流出する量は、年間1万4000トンにも及びます。
サンゴが死んでしまう原因となってしまう日焼け止めに含まれる有害物質とは、主に紫外線吸収剤のオキシベンゾンとメトキシケイヒ酸エチルヘキシルです。
紫外線吸収剤はその名の通り、紫外線を吸収して肌に紫外線が到達するのを防ぐ役割を持っています。
肌に塗った時のキシキシ感や粉っぽさが少なく白く浮かないことから、日本では多くの日焼け止めに使用されているのが事実です。
オキシベンゾンとメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの海洋汚染によってサンゴが死んでしまう(白化現象が起こる)のには、褐虫藻(かっちゅうそう)が関係しています。
褐虫藻とはサンゴに共生している藻のことで、サンゴに栄養を送る役割を持っているのです。
しかし、日焼け止めに含まれる有害成分が褐虫藻にダメージを与えると褐虫藻がサンゴから剥がれてしまいます。
その結果、サンゴは栄養が得られなくなり死んでしまうのです。
またサンゴ本来の鮮やかなピンクや赤色は褐虫藻の光合成による発色なので、サンゴは白くなります。
海外では有害物質を含む日焼け止めは法律で販売が禁止されている
「日焼け止めでサンゴが死ぬ」という問題は日本ではあまり知られていませんが、海外では厳しく法律で規制されている地域もあります。
すでに法律が施行されている地域では、日焼け止めの持ち込みも違法となる場合があるので十分に注意しましょう。
パラオ
規制されている成分
・オキシベンゾン
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
・オクトクリレン
・エンザカメン
・トリクロサン
・メチルパラベン
・エチルパラベン
・ブチルパラベン
・ベンジルパラベン
・フェノキシエタノール
世界でいち早く、法律による日焼け止めの販売および持ち込み規制を行った地域です。
指定されている物質は10種類で、他の地域に比べるとかなり厳しく規制されています。
特にフェノキシエタノールやメチルパラベンは、日本で販売されている日焼け止めや化粧品などに多く使用されています。
もしパラオへ旅行する機会があれば、指定されている成分を持ち込まないように十分に注意しましょう。
ハワイ州、フロリダ州キー・ウエスト(アメリカ合衆国)
規制されている成分
・オキシベンゾン
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
バカンス地として日本人から親しまれているハワイや、アメリカの南部に位置する州・フロリダの一部でも、2021年から日焼け止めの販売規制が行われています。
ボネール島(オランダ領)
規制されている成分
・オキシベンゾン
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
アメリカ・フロリダ半島の南東、南米大陸の北にあるカリブ海に浮かぶボネール島。
ハワイやフロリダと同様、2021年の1月から日焼け止めの販売規制が施行されています。
海洋環境を守るために日焼け止めの規制を行なっている海外の地域を一部ご紹介しました。
海外ではこのように法律による厳しい規制が行われていますが、残念ながら日本ではまだそのような規制はありません。
さらに日本で販売されている日焼け止めには、オキシベンゾンとメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが含まれているものも多く、私たちも日焼け止めを選ぶ際は注意する必要があります。
日焼け止めを選ぶ際は肌にやさしいかどうかやSPF・PA値だけでなく、ぜひ成分にも注目してみてください。
海にやさしい日焼け止めを選ぶ3つのポイント
海にやさしい日焼け止めを選ぶ際は、以下の3つのポイントに注目してみましょう。
3つ全てを満たしていなくても、どれか一つ当てはまっていればOKです。
1、紫外線吸収剤を使用していないこと
2、ケミカルフリー(ノンケミカル)処方
3、オキシベンゾンまたはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの表記がない
※オキシベンゾンは、ベンゾフェノン-3やBP-3と記載される場合もあります。
またメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、オクチノキサートと表記されることもあるため注意しましょう。
日本では日焼け止めの規制は行われていないものの、日焼け止めを製造している化粧品ブランドでは海に配慮した製品を開発する取り組みが進められています。
カネボウの有名な日焼け止めブランド・ALLIE(アリィー)も2022年2月に海にやさしい「ビーチフレンドリー」にリニューアルされた商品を発売しました。
たとえ法律では規制されていなくても、私たち一人ひとりがしっかりと日焼け止めを選び海に配慮することで、海洋環境の未来を変えられるのです。
青い海や美しいサンゴ礁、そこで暮らす海の生き物を守るためにしっかりと日焼け止めを選ぶ3つのポイントを覚えておきましょう。
ドラッグストアやスーパーで購入できる!海にやさしい日焼け止め3選
私たちの身近なドラッグストアやスーパーで買える、海にやさしい日焼け止めを3つ紹介していきます。
ALLIE(アリィー)シリーズ/カネボウ化粧品
先ほども紹介したようにカネボウが発売しているALLIEは、ビーチフレンドリー処方で海に配慮された成分で作られています。
シリーズを通してビーチフレンドリー処方にリニューアルされており、ジェルタイプやミルクタイプ、ノーファンデUV下地など自分に合った日焼け止めが選べるのでオススメ。
またパッケージにもプラスチックをリサイクル・削減できる工夫がされているため、海だけでなく地球環境全体にやさしい日焼け止めです。
ニベア プロテクトウォーターミルク マイルド/花王
紫外線吸収剤、アルコール、香料、着色料を使用していないミルクタイプの日焼け止めで、敏感肌の人にもピッタリです。
また肌馴染みがよくサラサラしているため、べたつきが苦手な人にもオススメ。
SPF50+、PA+++という強力な日焼け止め効果を持ちつつ、メイク落としやいつものボディソープでオフできるといったバランスのいい商品です。
ビオレ UVキッズ ピュアミルク/花王
赤ちゃんの肌にも使用できるほどやさしい成分で作られた日焼け止めです。
紫外線吸収剤、着色料、香料、アルコール、パラベンなどを使用していないため、大人も子どももコレ1本で安心して日焼け対策ができる優れもの。
親子で海水浴に行くならぜひ持っておきたい日焼け止めです。
環境に配慮された日焼け止めで思いっきり海水浴を楽しもう!
日焼け止めによる海やサンゴ礁の汚染問題は、残念ながら日本ではまだあまり浸透していません。
世界では法律で日焼け止めの販売・持ち込みを規制している地域もあるのに、日本は遅れていると言えます。
「肌にやさしい」と謳っている商品ばかりに目がいきがちですが、海への配慮を忘れてしまっていませんか?
わざわざ法律を改正して規制しなくても、私たち一人ひとりの知識と配慮さえあれば、美しい海やサンゴを無駄に失わずに済むのです。
普段の何気ないちょっとした選択が、地球環境や未来を大きく変えていきます。
あなたもぜひ海水浴に行く際は、海に配慮したやさしい日焼け止めを選んでくださいね。